ひらきなおり日記

ロスジェネのライフ

成功するアーティスト(芸術家)とは

芸術の秋、とか言ってますけども。正直、モノとしてのアートが売れなくなってる時代。フェルメールムンクは行列ができるほど人気ですが、彼らの作品を知らない人はいないと思うし、あくまで故人ですから。

生きている人で彼らレベルで芸術価値のある作品を提供している人、といえば、少し前までは、ブルース・ナウマンマシュー・バーニーダミアン・ハースト、ジュリアン・オピー。日本でいうと、村上隆奈良美智が有名どころでしょうか。戦前生まれの人だと、ヨーコ・オノ、草間彌生ですかね。

でも、30代~40代って誰か浮かびます??

なかなか難しいですよね。実は、結構いるんですけど。例えば「情熱大陸」で放送された河井美咲とか、球体のガラスで鹿の彫刻作品を作る名和晃平とか。彼らはまだ40代ですが、若い頃から活躍されていました。ただ、作品の値段や注目度で言えば、知らない人が多いのではないでしょうか。

www.mbs.jp

 

Misaki Kawai

 


New York Art Tours: Misaki Kawai


 

bijutsutecho.com

 

 

KOHEI NAWA | SANDWICH: CREATIVE PLATFORM FOR CONTEMPORARY ART

KOHEI NAWA | SANDWICH: CREATIVE PLATFORM FOR CONTEMPORARY ART

 
名和晃平 シンセンス

名和晃平 シンセンス

 
美術手帖 2011年 08月号 [雑誌]

美術手帖 2011年 08月号 [雑誌]

 

 

 

ザ・スクエア」という映画が昨年公開されました(日本では、2018年公開)。「万引き家族」の前にカンヌ映画祭パルムドールを獲得している映画です。主人公のキュレーターが金のために行った偽善的コンセプトのアート作品が思わぬ事態を生む…という話なんですが、アートが「なんとなく良い」から「わかりやすくないとダメ」という、つまりロジカルに物語らないと集客に繋がらないということになってます。まぁ、これはアートだけのはなしでもなくなっていますが。

そこで、今活躍してる中で歴史に名が残るくらいすごいアーティストって誰だろう…と考えてみました。

 


第70回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作!映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』予告編

 

 

 

 

これからは「モノ」として残らない作品たち

 

私の中では、バンクシーとJRですね。

この二人がすごいのは、作家が自ら宣伝もしているんです。キューレーターに向けてではなく、万人に向けて。彼らはニュースを作ります。しかも、相当早いスピードで。このスピード感も、インターネット時代の情報の流れを肌で感じる我々にとってはすごく大切なこと。そして、どこに現れるかわからない。まず、コンセプトを作り、ニュース性があるかどうか確かめ、予告から始まり、公開までバレないように完璧に作品を作り、一夜にして公開作業に取り掛かる。会社のマルチタスクよりもプレッシャーとノルマがすごいですね。そして事件そのものを作品として残す。それをモノにしようと追いかけるキュレーターやコレクターは大変です。

 

バンクシーで新しいのは、サザビーズ シュレッダー事件。バンクシーのインスタで公開されていましたが、1億5千万で落札された作品が、落札された瞬間、額縁に装置されていたシュレッダーで「そば」みたいに刻まれる。サザビーズに来ていたバイヤーたちは頭を抱えて困る人もいれば、笑ってる人もいました。まぁ、シュレッダーも含めバンクシーなんだから展示すればいいと思いますし、インスタの動画も合わせて見せれば、「この額縁、手が凝ってんな~」と額縁にもアート性が生まれます。多分、今だからこそできたことだと思うんですよ。あの額縁。センサーか何かがはたらいて動いているわけだし。バンクシーはインスタのコメント欄に「大成功」と残している。ということは、落札までが彼らにとって作業なんですよ。


バンクシー、シュレッダー絵画騒動に飛び交う憶測

 

 

 

Wall and Piece【日本語版】

Wall and Piece【日本語版】

 

 

 

最近、JRの活動は日本でそこまで大きく取り上げられていませんでしたが、映画「顔たち、ところどころ」をやってますね。アニエス・ヴェルダと二人でフランスの田舎町を旅しながら、その土地に暮らす人々と作品を作っていくロードムービー。JRはフランス人で、巨大ポートレートを製作し、世界各国の壁に展示することで有名。彼もグラフティ出身で最初は塗料でタギングしていたものを、ある日たまたま手にしたカメラで写真を撮り、ストリートの壁に貼っていったところからこの手法を思いついたそう。日本にも来て、撮ってもらってる友人もいましたが、彼も顔は出しているものの、名前は匿名で作品にも解説をつけず、観た人の解釈に任せるスタンス。

彼も最初は、パレスチナイスラエルといった紛争地域、ブラジル、アフリカの貧困街を訪れパフォーマンスをして一躍有名になりました。

www.uplink.co.jp

www.ted.com

 

「芸術家」は後付け

 

彼らに共通するのは、制作や展示場所を決めずに命がけで作品を見せることです。そしてわかりやすいメッセージがある。だからこそ、芸術を知らない人でも、日々の生活から直感的に彼らのメッセージが理解できる訳です。 

今ってネットで検索すれば、それがどんなコンセプトなのか、ビジュアルなのかはわかる。そこで満足して足を運ばない人もいるでしょうし、「この作品欲しい」とも思わないでしょう。実際見るのと画像で見るのでは全然違うのですが。でもそれって個人の実感によるものなので、医薬部外品の「効能効果は個人によって異なります」と同じです。

だからこそ作家は情報を公開した時点で大きなインパクトを残さないといけない。マーケティングでいう「ファネル」と同じです。芸術に関心がない人でも認知してもらう。そこから、追いかけてもらうことで絞り込まれ、作品購入や展示(マーケティングでいう商談成立)まで引き上げられるのです。

 

おそらくそんな計算は働いておらず、彼らはただただ楽しくやっているだけだと思いますが、客観的に見るとマーケティングと同じフレームワークです。ただマーケティングやこれまでのアートと違うのは、「早い段階で作品自体がなくなる」ということ。そして、それが平気だということ。

結論、まぁ、作家本人は自分が芸術家として活動していなくて、そう捉えられたのは後付けだから知ったこっちゃない、みたいな話なんだろうけど。